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IPPの内容-2

以前の記事で現在大学が主催しているプロジェクトについて少し紹介しましたが、今回もう少し詳細に述べたいと思います。

最近クライアントとのミーティングを行ったのですが、その際にクライアント名を出すことは全く問題が無くむしろ広めるべき性質のものだと思いますのでここでも公開したいと思います。

現在私が関与しているプロジェクトのクライアントは、NPO法人の中学校で「蒲公英中学」といいます。「蒲公英」とは中国語でタンポポのことです。

この学校の特徴は、「農民工」の子供を受け入れるというところに特徴があります。
以下、簡単にプロジェクト背景を述べます。
簡略化しすぎて一部間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください。

中国には「户口」と呼ばれる厳重な戸籍制度が存在しています。
この户口に基づいて政府が様々なサービスを提供しています。
改革解放後、物理的な移動に関しての制約はかなり緩和され、農村から農村戸籍を所有したまま都市部へ出稼ぎに出る「農民工」が増加し、現在ではその数は2億人とも言われています。
農民工が出稼ぎに出る際にそれ以外の家族もそろって都市部へ移り住むと、当然ながら公共サービスを移り住んだ先で受けることができなくなります。
公共サービスには学校教育も含まれており、農民工の子供には都市部の公立学校で教育を受けることはできません。それらの子供に対して、教育サービスを提供しているのは今回のクライアントである「蒲公英中学」です。
この学校の収益は主として授業料と寄付・援助、彼らのビジネスによって賄われていますが、我々のクライアントのクライアントである農民工には当然ながら高額の授業料を支払うことができない為低めに設定されています。寄付は安定して受けることが難しく、政府援助も受けてはいるものの運営資金を賄うには十分ではないです。
従い、自身でビジネスを行っているのですが、その収入も十分では無いとのことです。

今回のプロジェクトの目的は、「不安定な寄付・援助頼みの運営から自立して運営出来る体制を作る」ことです。
そのためには、現在のコスト体制を見直すもしくは収益源を増やすことですが、クライアントは収益源を増やすことに注力してほしいとのことですので、今回はコスト見直しは最小限にとどめ、収益源を増やすことで合意しました。

クライアントの校長はハーバード大学ケネディスクールで公共政策を学んだエリート女性で、スタッフの1人も10年以上アメリカ在住経験があるので、「ローカルビジネスながら言語障壁が低い」、非常に魅力的な案件です。
ただ彼女達は非営利法人を運営しており且つアメリカ留学を経験していることから非常に理想が高いことが過去2回のミーティングからも容易に感じとれました。

まずとっかかりとして日本で同様の事例がないか、を調べたのですが、NPO法人が運営するような学校は高めに設定された授業料(国立大学や私立文系と同じくらい?)と寄付が主な収益源となっており、クライアント(児童・生徒)から直接収益を得るモデルのようです。

今後は、関係者へのインタビュー及び過去のビジネス経緯、更には他のメンバーの海外事例調査によって解決策を提案していきたいと思います。
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↑学校の校庭です。バスケが盛んな中国らしく、3面もコートがあります。このゴールは日産により寄贈されているようでした。
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2ndセメスター前半まとめ-2

前回に引き続き、2ndセメスター前半戦のまとめです。
残りの2科目と課外アクティビティについてです。

4) Decision Making and Operational Management
良かった点としては、Supply Chainに関する基本的なことを学ぶことができたことです。この科目については今までの人生で一度も触れること無く過ごしてきたので、どんな授業でも新鮮に感じることができたと思います。また、この授業では2,3のゲームを通してサプライチェーンの何たるかを実践的に学ぶことができた点が非常に有意義でした。講師がユーモアにあふれた人であることもよかったと思います。この講師は我々のIPPのアドバイザーでもあるため、今後も仲よくしていきたい講師の一人です。
悪かった点としては、アクティビティ以外の授業が数式の説明に偏りすぎていたことです。確かに数式を使うことも必要なのですが。。。数式は自主的に学ぶようにして、もっとケースもしくはゲームの回数をふやすべきではないかと思います。

5) Financial Statement Analysis
良かった点は、財務諸表に関する様々なトピックをおもしろおかしく話す講師の話が聞けたこと、悪かった点は講師の話が長いためどうしても受動的になりがちだったことです。楽に単位を稼げ、面白い話が聞けるという点で有意義でしたが、ほぼリスニングの授業だった気もしないではありません。

2. 課外アクティビティ
1) 普段
今セメスターでは、「中国人と仲良くする」ことを1つの目標としていました。結果としてなぜか男ではなくなぜか女性のクラスメイトとばかり仲よくなってしまいましたが、それでも所期の目標は達成出来たのではないかと思います。
女性とばかりつるむようになってしまったのは、前述のグループ編成にあり、Organizational BehaviorのグループとStrategy Managementのグループで女性ばかりのチームに属しており、かつそれらの授業が午前中にあるため、昼食や次の授業までの空き時間を一緒に過ごすことが多かった為です。
とは言え、その時間を使って中国人の若者(しかも女性サイド)の意見を多く聞くことができました。彼らのキャリア観はやはり同じMBAに来ている者としての共通項を見出せた一方で人生観、結婚観や家庭に求めるものなどは日本人の、少なくとも私のそれとは大きくかけ離れておりなかなか面白いです。
彼ら(彼女ら)と過ごせる時間はもう1ヶ月あるかどうかというところですが、是非とももっと突っ込んで聞いてみたいと思っています。

2) Taiwan Trip
妻のクラスメイトである清華大学IMBAクラスのメンバーと一緒に日本のゴールデンウィーク期間に台湾に行ってきました。8年前に一度台北に訪れたことはあるのですが、大陸に長く居てから台湾に来ると、改めてその違いを感じることができました。
まずは人のホスピタリティの違いです。大陸のサービスで笑顔を見ることはまずありませんが、台湾人はどんな人も笑顔で対応しかつ丁寧にアドバイスをくれます。日本では当たり前のことですが長く中国大陸で生活をしているとその当たり前をこんなに新鮮に感じることができるものとは思いませんでした。
2つめは整然さです。特に交通機関で感じることが多いのですが、列を乱さない、車が交通ルールを遵守するなど、これまた日本では当たり前でも中国大陸では割り込み、車も強引な運転が「ルール」であるためそのルールに慣れる必要があったのですが、その感覚を持ち込むと自分だけが強引な人間に見えてしまうようで、若干気まずい気持ちを感じることがありました。

また、8年前と比較して比べ物にならないくらい大陸からの観光客を見ることができました。前回来たのが2006年だったのですが、その2年後の2008年に中国-台湾間で観光に関する規制緩和に合意されたための様ですが、どこに行っても大陸の人を見かけました(妻は彼らの話している言葉で大陸人か台湾人かを識別できるようですが、私は雰囲気や服のセンスなどでなんとか判断していました)。

今セメスターも残すところ7週間です。
そろそろ別れの季節が近づいてきている為か、最近は特に飲み会やパーティ、旅行などのイベントが増えてきて、授業が減ってもまだまだ忙しい日々は続きそうです。

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2ndセメスター前半まとめ

既に2ndセメスター後半戦に入っていますが、ここで前半戦を、授業を中心に2回に渡り総括してみたいと思います。

1. 授業
1) Organizational Behavior
良かった点は講師が実務経験を有しているため(日本企業、台湾企業)、実際の組織での問題を引き合いに出しながらアジア国内での組織問題の違いや米国との違いを比較しながら議論を進めることができたことです。特にこの授業では日本企業の特異性が度々挙げられたため、必然的に私の発言回数も多くなりました。
悪かった点は、タイムマネジメントでしょうか。よく言えば時間に寛容であるため議論を収束させない傾向があり、そのため複数回で授業をまたいで議論が継続することがありました。そのため、全てのコンテンツをきちんと消化することができなかったです。
もう一つは、科目の構成です。この授業の中にLeadershipに関する内容が含まれているのですが、個人的にはLeadershipは別個の科目として設けてほしかったです。
講師の年齢が若く(私と同い年)であり、かつ日本人の血が入っており、日本企業でごく短期間ながらも働いた経験を持つことから個人的に仲よくさせてもらいたいと思っている方です。
人脈という観点では、一番収穫が大きいのではないかと思っています。

2) Corporate Finance
良かった点としては、Financeの原則を理解できたこと、IPOに関する知識を得たこと、中国のファイナンスを常に引用して説明してくれたため、中国ビジネスに明るくない留学生に取っては有益だったのではないかと思います。恐らく教科書で言われているような一般的なFinanceに関する知識、特に計算に関連するような内容は全員習得したものと思います。
悪かった点としては、この講義ではCorporate Governanceなどについて取り上げられていたのですが、それよりもむしろもっと中国ファイナンスに特化して欲しかったです。
もう一点、この授業ではアウトプットの機会が極端に少なく知識の定着を図るという意味では決して効率的では無いと感じています。もっとケースを中心とした分析をする機会を提供するべきではないかと思い、その旨はMBAオフィスに伝えました。
(あと、個人的なヒアリング能力の問題にもなりますが、あまり大きな声でしゃべらないので、かなりの割合で聞き逃すことが多かった気が。。。)

3) Strategy Management
良かった点としては、授業の後半から中国に関するケースを扱うことで、これまでの企業がいかにして中国マーケットを攻略してきたかを知ることができたこと(結果として“Guan-xi”が絡んでしまうことが多いのですが)が最大の収穫でしょうか。
悪かった点は特に無いと思いますが、挙げるとすればソリューションがアカデミック過ぎた印象があります。
講師は「良い戦略・悪い戦略」の著者であるリチャード・ルメルト氏の直の教え子であり、経歴を見る限りでは恐らく実務経験が無いのではないかと思います。
そのため、「いや、理詰めで行けばソリューションはそうなるかもしれないけど、それの実現可能性ってどうなの?」っていう方向に議論を導く傾向にあった気がしています。従い、生徒の評価は大きく分かれています。

次回は残り2科目と課外アクティビティについてです。

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新クラス(Business Beyond Profit)

またまたセキュリティの問題と労働節休暇を利用した旅行(台湾、香港)の為、3回ほど飛ばしてしまいました。
今セメスター、なかなか定期的な更新ができていないのは個人的にも非常に残念です。。。

4月最終週から新しい授業が始まりました。

Business Beyond Profit
■内容
タイトルの通り利益以外にも価値を求める、いわゆるSocial Enterpriseをテーマとした授業です。
例えば、スターバックスの"フェアトレード"に関するケースや障がい者雇用に関するケースなどを取り扱います。

2.gif


これまで3回授業が行われていますが、1回はプロジェクトのミーティングで不参加、もう1回は前述の旅行のためスキップしたため、まだ1回しか出ていません。。。

■形式
完全なディスカッション形式です。
各回ケースを事前に読み、更にスタディグループ別にケースに関するプレゼンのお題が与えられており、各グループのショートプレゼンテーション(3分間)をベースとして議論を進めていく形です。
講師はプレゼンの授業も持っているため、プレゼン技術(チャート作り、デリバリーなど)にも細かい指摘が入ります。

これまで受けてきた授業の中では比較的事前準備が必要な授業ですが、授業自体のテーマが面白いこととワークロードが比較的低いので今の所はエンジョイしています。
更に、以前の記事で述べた現在関与しているプロジェクトのクライアントもNPOであり利益以外に価値を求めるという点で共通しており、この授業からの学びを実践で活かすことができる、偶然とは言え非常に効率のよいプログラムになったな、と感じています。

ただ問題は、非常に出席に厳しいことと遅刻が厳禁であることがまるで小学校の様です。。。

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プロフィール

BigTree

Author:BigTree
2013年秋から中国・北京大学のMBAに進学します。同時期に妻も中国・清華大学のMBAに進学します。2014年9月からは香港・香港中文大学 (CUHK) Business Schoolに交換留学します。本ブログでは、中国MBAの様子、夫婦でMBAを取ることについて綴っていく予定です。

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