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中国の環境問題について

最近、論文を書くにあたって興味深い書籍を読みましたので紹介いたします。


中国汚染の真相 「水」と「空気」で崩れる中国 (社会)中国汚染の真相 「水」と「空気」で崩れる中国 (社会)
(2014/08/22)
富坂 聰

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著者
著者(こちら)は北京大学への留学経験があり、雑誌の記者を担当された後にジャーナリストになられています。中国関連の書籍を何冊も出版されているエキスパートの方です。

感想
中国で起こっている環境問題の背景、それに対しての中国政府の対応、人民の反応などが詳細に記載されており、私自身が北京に住んでいる間に起こったことで知らなかったこともあり、「こういうことだったのか」ということを改めて認識させられ、いい勉強になりました。現地の記事の引用が多く、もう少し現地インタビューなどの一次情報があればもっと迫力があったのかもしれませんが、他の情報と比較すると十分裏事情まで書かれていると思います。私の経験した事例についても書かれていたことが納得感を高めてくれたのかもしれません。

例-1
例えばこちらの書籍によりますと、今話題の(最近は感度がにぶくなってきましたが)PM2.5が中国政府においても積極的に取り上げられるようになったのは昨年の春以降のことだそうで、そのきっかけとなったのは、2013年10月、中国北部で石炭による暖房が解禁され、昼間晴れているにもかかわらず視界が暗くなったことがきっかけだそうです。その頃私は北京におり経験していますが、まさかあれが政府が危機感を覚えるきっかけとなっていたということは気づきませんでした。
思えば書籍にも記述されていますが、北京に着いた当初はなんとなくPM2.5が濃いような気がして私が日本から持ってきたマスクを持って出かける日でも北京市民はほとんどの人がマスクをつけていなかった記憶があります。とはいえ、その後もマスクをつける人が若干は増えたような気もしますがまだまだマイナーです。そして、今ほど大気汚染に関するニュースを頻繁に目にすることはなかった記憶もあります。

例-2
また、私は以前水関連の仕事をしていたことがあるため、中国、特に北部の水事情が非常に悪いということは知っていました。ですが、住んでいるアパートは水をふんだんに使うことができ、これまで節水の注意を受けたことがなかったために「意外と普通に使えるじゃん」と思っていました。ですが書籍で触れられていますが、北京の水事情はひどく、長江の川の水を北部まで持ってくる「南水北調」プロジェクトの一部が完成したとしても問題の解決には至っていないようです。
以前北京に住んでいるクラスメイトにも話を聞いたことがありますが、「水がない」という事実を知っているものの、私と同レベルの現状認識しか持ち合わせていないようでしたので、少々油断していました。はっきり言ってやばいレベルです。

2年近く住んで、来る前のイメージとは異なり「北京、わりかし住めるじゃん」と思っていましたが、こちらにいる方が見えないことも多くなる、そんなことを感じさせてくれた1冊です。
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テーマ : 中国
ジャンル : 海外情報

大陸に住む日本人数とMBA学生の数

私が中国に来る以前の2012年9月に発生した反日デモ以降、中国に住む日本人の数が減少しています。

120-01.png
(Consular Policy Division, Consular Affairs Bureau, Ministry of Foreign Affairs of Japan)

併せて中国におけるPM2.5による大気汚染の深刻化が日本において報道されるようになったこと(実際目に見えてひどくなり始めたのもこのころらしいですが)、中国の経済成長減速に対する懸念、シャドーバンキングなど金融に対する不安などが高まったことも影響していると思います。
直近のニュースでは、シチズンが広東省の生産工場を閉鎖したことが話題となっています(こちら)。

幾つかの情報を併せて読んでみると中国からの撤退と中国にとどまり続けるべきとの意見とでは、撤退を勧める意見の方が多い気がします。

その流れを受けてか、私が通う北京大学・光華管理学院MBAの日本人もClass of 2016(私の1つ下)はゼロです。Class of 2017以降については何人かの問い合わせを頂いており、皆さん中国大陸、中でも北京でMBAを取る際には北京大学と清華大学のどちらかを志望されていますが、それでも北京大学のClass of 2014は日本人4人、清華大学のClass of 2013は日本人2人いたことを考えると、日本人学生の数は減少の一途をたどっています。

その一方で、香港3大学のClass of 2016の日本人学生の合計は10名と過去最多となったそうです。現在の香港の経済が大陸に相当依存している状況を考えると、大陸MBAの学生数が増えない原因は大陸の経済環境や環境汚染を含めた住環境の問題ではなく、教育の質の問題、もしくは認知度の問題、情報不足の問題であると言えそうです。

教育の質
私自身も経験しましたが香港の方が実務経験者が多く、より生々しい講義が経験できる点、より広く世界のトピックを扱う点については優れていると思います。また学習環境なども非常に優れており、学生が議論しやすい空間づくりがMBAビル、教室、図書館などあちこちに施されていると思います。

情報不足の問題
中国の大学に共通していることかもしれませんが、発信の半分以上が中国語であることから、発信する情報量が通常と比べて半分になってしまう気がします(同じ労力しか割かないと仮定した場合)。
より海外に積極的に情報発信をしていくことが大切でしょう。最近、どうやっているのか知りませんが、Linkedinに加えて、中国では使用することができないFacebook(こちら), Instagram, Youtube(こちら)でも発信を行っています。

認知度の問題
それが広く周知された結果、Financial TimesなどのMBAランキングでも高く評価され、香港3大学はともにTOP 30に入っています(CUHKは昨年ランク外となりましたが今年は復帰しました)。
北京大学は昨年は59位と健闘していましたが、今年は突如ランク外となりました。このランキングは回答者の母数なども影響するようで、他にも多くの有名な大学がランク外になったりしているので100%鵜呑みにすることはできませんが、MBAオフィスにとっては格好の宣伝材料でありますし、ランクを上げることで認知度が上がることは間違いないと思います。

私は北京の2つの大学についてしかわかりませんが、清華大学と比較して北京大学はプロモーションに不熱心であると感じています。大陸の学生やEMBAにおいて十分な収益をあげられることも原因かもしれませんが、今後のことを考えるとより留学生を多く誘致できる環境を整えることが求められると思います。それによって中国っぽさがなくなるのもちょっと寂しい気もしますが...。

というわけで、今回は在中日本人の減少とMBA留学生数の相関について少し検証してみました。

テーマ : MBA
ジャンル : 学校・教育

4thセメスターの授業

最近は旅行ブログ的になっていましたが、ようやくMBA的なことに戻ってきました。

3月からいよいよ最後のセメスターが開始しました。
中国の大学は、春節によって春学期の開始時期が変わるようで、昨年は2月中頃スタートだったのですが、今年は春節が2/19だったため、それが終わってからの開始でかなり長い冬休みにでした。
すでに日本を出てから20ヶ月が経過しており、本当に残された北京生活のわずかです。
とはいえ、北京大学MBA的には今学期は本来(すでに単位を持っている人であれば)授業を取る必要はなく、就職活動やインターンをすることが奨励されています。ですが、せっかく学費を払っているので、興味のある授業だけを取ることにしました。

1. Guanghua-Wharton Joint Course: Marketing in Emerging Economics
その名の通り、University of Pennsylvania Wharton school(こちら)の学生が北京大学にやってきて、3日間の集中講座を一緒に受けるというものです。Whartonといえば、MBAランキングでも常に上位の世界トップクラスのMBAスクールです。北京大学MBAとの関係でいうと、この講座は毎年開かれている他、交換留学枠もあり、また一昨年にはEMBAにおいてDual Degree ProgramをLaunchしました。比較的密接な関係にあると言ってもいいと思います。
授業の内容としては、Whartonの教授(中国人)と北京大学の教授がそれぞれ中国マーケティングに関する授業を持つ他、北京の不動産業者の訪問、フィールドスタディとしてグループに分かれて中国の小売における消費者への訴え方についての調査などを行いました。
どちらかというとWharton学生向けの作りになっており、内容はどこか他の授業で聞いたことのある話も結構多かったのですが、それよりもUSで学ぶ学生、しかも中国へ来るのが初めての学生の意見(というよりも素朴な質問)は新鮮でした。例えばWechatというコミュニケーションツールが中国のエコシステムの中では中心的な役割を果たしており、欧米におけるWhatsappとは全く異なる存在であること、中国は急激に経済成長しているため、各世代における価値観に大きなギャップが存在しており(もちろんどの国にもあるのですが)、それに合わせたマーケティングが必要であることなどは彼らにとっては新たな発見だったようです。
この授業、まだレポートが一本残っているのですが、グループの誰も動き出さないので私も今のところは静観しており、ギリギリになったらはじめようかと。

2. Entrepreneurial Management
もう1つはEntrepreneurに関する授業です。私自身当面は起業するつもりはない(できない)のですが、アントレプレナーとしてのマインドやファイナンス、IPOに関する知識を広く押さえておくことは企業でビジネスをする上でも役立つと考えており、MBA最後の授業として選択しました。
授業は、ファイナンス系は北京大学の教授が、マネジメント系は自身でVCを経営しているアメリカ人講師が担当です。このアメリカ人講師の方が非常に変わった経歴で、大学までは比較的普通に育っているのですが大学院進学に際してハーバードロースクールを蹴ってフルブライト奨学生としてフィリピン大学でマクロ経済を勉強しています。その後、フィリピン、アフリカで働いたのちハーバードビジネススクール(HBS)を経てマッキンゼーに入社。マッキンゼーでは主に南米において働いていたようで、その後現在のVCに至った模様です。
彼の半生はHBSのケースに書かれており、このケースを実際に授業で使いました。
きっと、アメリカのビジネススクールで教えるような人たちはこんな変わった経歴の持ち主ばかりなんだろうな、と思いつつ、授業をエンジョイしました。彼の経歴の深みもあるのでしょうが、この授業はMBAで受けてきた授業の中でもTOP3に入ると思います。

これら2つの授業に加えて、現在は修士論文を執筆中です。

119-01.jpg


意外とこの論文というやつが曲者で、1つの授業に相当するくらいの勉強はしなければ突破は難しそうです。英語で書くことよりもロジックを積み重ねることの方が大変ですね。

テーマ : 中国
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プロフィール

BigTree

Author:BigTree
2013年秋から中国・北京大学のMBAに進学します。同時期に妻も中国・清華大学のMBAに進学します。2014年9月からは香港・香港中文大学 (CUHK) Business Schoolに交換留学します。本ブログでは、中国MBAの様子、夫婦でMBAを取ることについて綴っていく予定です。

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